
南海本線と空港線の一般車両の大半は急行や普通など複数種別で運用される4ドア車ですが、一部に2ドア車が存在します。
南海本線・空港線の2ドア車(※1)は用途が限定され、4両の普通運用でしか使われません。
前面窓に「2扉車」と書かれたステッカーが貼られ、時刻表にも2扉が明記されています。
車両の検査などで2ドア車が不足する場合は4ドア車での代走となります。
なぜ南海本線・空港線で2ドア車の運用がされるようになったのでしょうか。
南海本線に2ドア車がある理由
南海本線・空港線に2ドア車がある理由を簡単に説明すると、
です。
詳しく説明するには、南海本線・空港線の2ドア車の車種「2000系」の転属の経緯を説明する必要があります。
では、2000系の転属の経緯を解説します。
かつては全て高野線を走っていた

南海2000系は1990年に登場し、1997年までに4両が9本、2両が14本 南海高野線に導入されました。
橋本~極楽橋間の山岳区間に対応するため、車両の長さは平坦区間用の20mとは異なり、17mで、2ドア車となりました。
難波~極楽橋間の直通運用(大運転)を中心に使用され、1950~70年代に導入された従来の21000系と22000系を置き換えました。
2000系の約半数が休車に

高野線の山岳区間の利用者減少のため、2005年に山岳区間のワンマン車両として2300系2両4本が導入されました。
同年にダイヤ改正で大運転の本数が大きく減らされ、基本的に山岳区間と平坦区間で運用が分離されました。
山岳区間は2300系のワンマン運用、平坦区間の橋本折り返しの急行は20m車が大半となりました。
このため、2000系の約半数が余剰となり、使い道がないため「休車」となりました。
南海では機器が故障した場合の予備を確保するため、ワンマン車両以外は2両単独で運用しない方針となっています。
なので2000系は2300系と異なり4両以上でしか運用できません。
休車の2000系が南海線へ転属

しばらく休車が続いた後、2000系には意外な使い道が与えられました。
2007年、老朽化が進んでいた7000系を置き換えるため、休車となっていた2000系が南海線に転属し、南海本線と空港線の4両の普通運用に入るようになりました。
南海線に転属したのは、2001F(4両)、2002F(4両)、2003F(4両)、2042F(4両)、2043F(4両)、2031F(2両)、2032F(2両)です。
冒頭で書いたように、乗客の混乱を防ぐため、前面に「2扉車」と書かれた緑色のステッカーが貼られました。
2000系の転属により、7000系の廃車(※2)が始まりました。
ドア数が他の一般車両より少なく車体が短いため、あまり混雑しない普通運用に転用されたのです。
つまり、余剰車の有効活用です。
2000系は本来、南海本線で運用することは想定されていなかったのでしょう。
- 補足
- ※1 南海の支線用車両には2ドア車があり南海本線の紀ノ川~和歌山市間の運用があるが、ここでは言及しない。
- ※2 7000系は8000系と譲渡車の3000系の導入で廃車が進み2015年に引退した。