
南海多奈川線は、かつて深日港から出る淡路島行きのフェリーへの接続路線としての役割を果たしていました。
しかし、フェリーが廃止されたため、2両の電車が往復するローカル線となってしまいました。
多奈川線の概要
- 距離
- 2.6km
- 区間
- みさき公園-多奈川
- 駅数
- 4
- 車両
- 2200系, 2230系, 7100系ワンマン車
- 両数
- 2
みさき公園駅
まずは多奈川線の接続駅である みさき公園駅からです。
ここは南海電鉄が経営していたテーマパーク「みさき公園」の最寄り駅でしたが、このテーマパークは2020年に閉園しました。

多奈川線の電車は多くの場合みさき公園駅の5番線で到着・出発しますが、長さの短い4番線に入線する場合もあります。
5番線に入線した2230系です。
多奈川線の車両は2200系列が殆どで、7100系ワンマン車は滅多に運用されません。
深日町駅

みさき公園駅を出ると南海本線との並走区間を走行します。

南海本線から分かれた後、深日町駅が見えてきます。

駅の横にある道路から深日町駅を眺めます。
ホームの手前に雑草に囲まれた石段が見えます。
まるで天空の遺跡のような雰囲気を感じました。
2つ上の写真を見ると、鉄橋の幅や線路用地が余分に広いのが分かります。
この石段は元々ホームと階段であって、深日町駅は2線ですれ違いができる駅だったと考えられます。
深日港駅
深日港駅です。
深日町-多奈川間は距離が2kmに満たないので、歩いてもあまり時間はかかりません。
駅舎の横には使われていない広い改札口があります。
深日港駅からは、終点多奈川駅がはっきり見えます。
駅間の距離の短さがよく分かります
ホームの屋根の柱に古レールが使われています。
多奈川駅

深日港駅からしばらく歩き終点の多奈川駅に到着しました。

ホームの屋根の柱には古レールが使われています。
ホームの横の空き地にはかつて線路があり、ここにも電車が発着していました。
多奈川駅は元々2線ありましたが、現在は1線になっています。

ホームにある架線柱をよく見ると、なんと木の柱、つまり木製架線柱です。
多奈川線が開業した頃からあるんでしょうかね。

多奈川駅に到着した2230系です。
急行淡路号の痕跡
無駄に広い多奈川線のホーム
これで多奈川線の全駅を見てきたわけですが、どの駅もとにかくホームが広すぎるのです。
2両の電車が1時間に数回往復するだけなのに
みさき公園駅以外の駅はホームが長すぎて先端エリアが柵で閉鎖されています。
深日港駅には使われていない改札口があります。
多奈川駅はもっとホームが広く、線路の跡地まであります。
なぜこんなに広いのでしょうか?
急行淡路号と淡路島へ向かうフェリー
ホームの広さには訳があります。
かつて、深日港から淡路島へ向かうフェリーが運航されており、難波駅から多奈川駅まで直通する6両の急行淡路号が運用されていました。
深日港駅のすぐ近くにフェリー乗り場がありました。
しかし、このフェリーは1993年に深日港から泉佐野港に発着場所が変更され、同年に急行淡路号が廃止されました。
最終的に2007年にこのフェリーは運航休止(実質の廃止)となりました。
つまり、多奈川線のホームは急行淡路号が停車していたため6両分の長さがあったわけです。これがホームが広すぎる理由です。
深日港駅の使われていない改札口は、フェリーの乗客が多くなった時に対応するため設置されたわけです。
これらは今は無き急行淡路号の痕跡なのです。