なんかいウェブ研究所

南海電鉄の線路はどこまで繋がっているのか

大阪府と和歌山県北部に路線を持つ大手私鉄「南海電鉄」。

路線は大きく分けて、南海線系統と高野線系統の2つがあります。

今回は南海の線路の繋がりを全て調べてみました。

  • 南海の路線内で線路はどこまで繋がっているのか?
  • 他の鉄道会社(以下:他社)の線路とはどこで繋がっているのか?

南海の路線内の線路の繋がり

まずは南海本線から見ていきましょう。

難波駅

南海 難波駅配線図
南海 難波駅配線図

南海の巨大ターミナル駅「難波」駅。

上の配線図で駅の上側の4線(1番線から4番線)が高野線、残りの4線(5番線から9番線)が南海本線の線路です。

南海本線と高野線の線路の間に渡り線があります。

よって、南海本線高野線の線路は難波で繋がっています

これは車両の回送時などに使われる渡り線です。

天下茶屋駅、岸里玉出駅

南海 天下茶屋駅、岸里玉出駅配線図
南海 天下茶屋、岸里玉出駅配線図

南海本線と高野線の線路は天下茶屋-岸里玉出 間で分かれています。

岸里玉出は、南海本線と高野線のホームがやや離れていますが、改札内の連絡通路で繋がっています。

天下茶屋に南海本線と高野線を繋ぐ渡り線があります。

よって、南海本線高野線の線路は天下茶屋でも繋がっています

また、岸里玉出で汐見橋線の線路が渡り線で南海本線と繋がっています

南海電鉄の路線① 汐見橋線 ~都会のローカル線~

羽衣駅

南海 羽衣駅配線図
南海 羽衣駅配線図

2021年に南海 羽衣駅の南海本線の線路が全て高架化されました。

そのため、仮線と仮ホームの使用が終了しました。

高師浜線は本来、羽衣で南海本線と線路が繋がっているはずですが、南海本線の線路の高架化により分断されました。

高師浜線は高架工事のため2021年時点で運休となっています。

高師浜線の高架工事完了と同時に南海本線と線路が繋がる予定です。

南海本線 羽衣駅の本線上りホームの高架工事の完了直後の様子

泉佐野駅

南海 泉佐野駅配線図
南海 泉佐野駅配線図

泉佐野から空港線が分かれており、南海本線空港線は渡り線で繋がっています

南海空港線の列車の殆どが南海本線の難波まで直通します。

みさき公園駅

南海 みさき公園駅配線図
南海 みさき公園駅配線図

上の配線図で駅の下側の2線(4番線と5番線)が多奈川線の線路になっています。

駅の難波側と和歌山市側の2箇所のポイントで南海本線多奈川線の線路が繋がっています

南海電鉄の路線② 多奈川線 ~急行淡路号の痕跡~

紀ノ川駅

南海 紀ノ川駅配線図
南海 紀ノ川駅配線図

加太線は紀ノ川駅で南海本線と分かれていますが、加太線の始発は全て隣駅の和歌山市です。

駅の難波側のポイントで南海本線加太線が繋がっています

和歌山市駅

南海 和歌山市駅配線図
南海 和歌山市駅配線図

和歌山市駅では南海本線和歌山港線の線路がそのまま繋がっています

急行と特急サザンの一部の列車は南海本線から和歌山港線に直通します。

記載していませんが、配線図の下側にはJR紀勢本線の和歌山市駅のホームと線路があります。

JR紀勢本線と南海本線の関係について次の「他社線との繋がり」の項目で言及します。

まとめ: 南海の路線内の線路の繋がり

南海の路線内の線路の繋がり
南海の路線内の線路の繋がり

南海の路線内の線路の繋がりを1つの図にまとめるとこうなります。

線に切れ目がある箇所は線路が繋がっていないという意味です。

南海の路線は、鋼索線(高野山ケーブル)と高師浜線以外全て線路で繋がっているのが分かります。

天下茶屋-難波 間に萩ノ茶屋、新今宮、今宮戎の3駅がありますが、これらの駅に南海本線と高野線の渡り線はありません。

高師浜線は本来なら南海本線と線路が繋がっていますが、2021年時点で高架工事のため運休し線路が分断されています。

他社線との繋がり

南海の線路は自社だけでなく、他社の路線とも繋がっています

次に、他社の路線と線路が繋がっている箇所を全て見ていきましょう。

中百舌鳥駅: 泉北高速鉄道

南海・泉北高速 中百舌鳥駅配線図
南海・泉北高速 中百舌鳥駅配線図

南海は高野線で泉北高速鉄道と相互直通運転を行っており、難波-和泉中央 間で両社の車両が運行されています。

中百舌鳥は南海と泉北高速の境界駅であり、両社でホームと改札を共用する共同使用駅でもあります。

上の配線図で駅の外側の線路(1番線と4番線)が高野線、駅の内側の線路(2番線と3番線)が泉北高速の線路です。

中百舌鳥の難波側のポイントで高野線泉北高速の線路が繋がっています

泉北高速は南海以外と線路が直接繋がっていません。

りんくうタウン駅: JR関西空港線

南海・JR西日本 りんくうタウン駅配線図
南海・JR西日本 りんくうタウン駅配線図

りんくうタウンは南海とJR西日本でホームと改札を共用する共同使用駅です。

上の配線図で駅の外側の線路(1番線と4番線)が南海、内側の線路(2番線と3番線)がJR西日本の線路です。

りんくうタウンの関西空港側で南海とJR西日本の線路が合流しており、南海空港線JR関西空港線の線路が繋がっています

りんくうタウン-関西空港 間は南海とJR西日本の線路共用区間になっています。

南海とJR線のレール幅が同じなので線路共用ができるのです。

関西空港駅: JR関西空港線

南海・JR西日本 関西空港駅配線図
南海・JR西日本 関西空港駅配線図

りんくうタウンは南海とJR西日本でホームと改札を共用していますが、関西空港駅は線路、ホーム、改札が両社で別になっています

上の配線図の駅の上側(4番線と3番線)がJRのホーム、下側(2番線と1番線)が南海のホームです。

この駅も線路共用区間を介して南海空港線JR関西空港線の線路が繋がっています

和歌山市駅: JR紀勢本線

南海・JR西日本 和歌山市駅配線図
南海・JR西日本 和歌山市駅配線図

上の図は「南海の路線内の線路の繋がり」の「和歌山市駅」の項目で示した和歌山市駅の配線図にJR紀勢本線のホームと線路を加えたものです。

全く目立ちませんが、和歌山市駅の難波側に南海本線とJR紀勢本線を繋ぐ渡り線があります。

よって南海本線JR紀勢本線の線路は繋がっています

この渡り線では架線が繋がっていません。しかし大切な役割があるので次の項目で説明します。

JR線との繋がりについて

ここまで見てきたように、南海はりんくうタウン・関西空港(→JR関西空港線)、和歌山市駅(→JR紀勢本線)の3箇所でJR線と線路が繋がっています。

JR関西空港線はJR阪和線と線路が繋がっており、阪和線は紀勢本線と繋がっています。

紀勢本線は和歌山線と繋がっており、阪和線は大阪環状線や大和路線と繋がっています。

大阪駅で東海道線に繋がり、品川で山手線に繋がり、新宿で中央本線に繋がり、中野駅で東京メトロ東西線に...

......きりがないですね。

つまり、JRの大半の路線多くの私鉄(小田急、相鉄、名鉄など)や第三セクター鉄道(東葉高速、りんかい線など)と地下鉄(東京メトロ)などと間接的に線路が繋がっているのです。

南海と泉北高速の新車は機関車に牽引され、車両工場からJR線を通って、JR紀勢本線と南海本線の渡り線から南海に搬入されます(「2. 他社線との繋がり」の「和歌山市駅」の項目を参照)。

南海とJR線のレール幅が同じで線路が繋がっているので、新車をJR線で輸送できるのです。

線路が繋がっていても車両の出入りができるとは限らない

南海はJR線と線路が繋がっており、JR線は多くの鉄道と線路が繋がっています。

しかし、線路が繋がっているから車両の出入りが自由かというと、それはあまりに無理な話です。

車両の大きさ線路用地の広さ車両の保安装置(ATSや無線など)が鉄道会社によってバラバラなので厳しいです。

和歌山港駅に現れた泉北ライナー12000系(※1)

例えば、泉北高速の特急車両「泉北ライナー」(泉北12000系)は、高野線だけでなく、南海本線や和歌山港線を走行できます。

なぜなら、泉北高速は南海と線路規格が共通で、泉北12000系は南海と車両の造りが同じだからです。

JR阪和線の特急車両「はるか」(281系)(※2)

一方で、JR阪和線の特急車両「はるか」(281系、271系)は南海本線に入線不可です。

南海とJRの保安装置の種類が違うからなのですが、それ以前の問題があります。

車両幅が大きすぎて(南海の線路用地がJRより狭く)、ホーム、信号機、架線柱などに接触する恐れがあるからです。

総まとめ: 南海の線路の繋がり

南海の線路の繋がり
南海の線路の繋がりの図

南海の線路の繋がりをまとめると上の図のようになります。

線に切れ目がある箇所は線路が繋がっていないという意味です。

南海と直接線路が繋がっている鉄道会社は泉北高速JR西日本の2社です。

JR線を介して日本中で線路が繋がっていることになります。このためJR線は、大阪と和歌山の一部のみを記載しました。

大阪メトロ、阪神、近鉄、水間鉄道は南海から乗り換え可能ですが、いずれも線路は南海と繋がっていません。

また、難波、新今宮、羽衣、三国ヶ丘、橋本はJR線との乗り換え駅ですが、線路は南海と直接繋がっていません。

画像の作成者とライセンス
※1: 撮影者...やなちゃん徳島, ライセンス...CC-BY-SA-3.0
※2: 撮影者...MaedaAkihiko、ライセンス...CC-BY-SA-3.0

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